在シドニー総領事通信 : アーカイブ
第4回 未来をつくる姉妹都市 - 令和元年(2019年)12月13日
皆さん,「姉妹都市」を御存知ですか。日本の地方自治体は,世界各国の地方自治体と1762の姉妹都市関係を結んでいます。オーストラリアには,米国(455),中国(370),韓国(163)に次ぐ108の姉妹都市があり,当館はニューサウスウェールズ州と北部準州にある42の姉妹都市を所掌しています。着任早々,周年行事を開催する姉妹都市を訪問する機会を得て,その重要性を実感しました。具体的な事例をご紹介しながら,姉妹都市の意義を考えたいと思います。
ゴールバーン・マルワリー市・士別市姉妹都市20周年記念祝賀夕食会
11月12日,ゴールバーン・マルワリー市を訪問し,北海道士別市との姉妹都市20周年記念祝賀夕食会に出席させていただきました。姉妹都市20周年に際して,牧野勇司市長を団長とする10名の士別市代表団がゴールバーン・マルワリー市を訪問し,一連の行事に出席しました。
ゴールバーン・マルワリー市と士別市は綿羊を通じて交流が深まり,1999年に姉妹都市提携を締結して,高校生の相互短期留学研修事業や市民訪問団の派遣交流を継続してきました。祝賀夕食会には,20年前の姉妹都市開始時からの歴代市長をはじめ学校,警察,商工会議所の代表など約50名が出席し,市を挙げて代表団を歓迎する心温まるものでした。牧野市長からは,士別市として次世代の教育を重視しており,高校生の交流を貴重に感じているとの話を伺いました。
ゴールバーン・マルワリー市の士別庭園にある記念石碑
長年の交流を通じた信頼関係を基盤に,ゴールバーン・マルワリー市中心部にあるビクトリア公園に日本庭園を建設することとなりました。この庭園は既に設計を了し,20周年記念行事に合わせて「士別庭園」と命名され,士別市から石碑と庭石,竹垣を寄贈する式典が夕食会前日の11月11日に行われました。石碑は日本で刻印し,庭石とともに数か月かけて船便で輸送したとのことです。
ダボ市・美濃加茂市姉妹都市30周年記念夕食会
11月23日~24日にはダボ市を訪問し,岐阜県美濃加茂市との姉妹都市30周年記念行事に出席しました。美濃加茂市からは,伊藤誠一市長を団長とする20名以上の代表団が来訪し,23日に記念夕食会が開催されました。
ダボ市の美濃加茂通り開通式典
24日には,ダボ市の日本庭園「逍遥園」前で,「美濃加茂通り(Minokamo Way)」の開通式典が盛大に行われ,その後園内で野外音楽会も開催されました。
ダボ市の逍遥園の石庭
逍遥園は,美濃加茂市が2002年にダボ市に寄贈した日本庭園で,同市出身の小説家,坪内逍遥にちなんで名付けられました。鯉のいる池や石庭,茶室もある立派なものです。ダボ市の経費負担により美濃加茂市から庭師が毎年派遣され,手入れが行き届いていました。
美濃加茂市を訪問したダボ市代表団とカンガルー像(出典ダボ市)
これに先立つ10月中旬には,ベン・シールズ・ダボ市長を団長とする代表団が美濃加茂市を訪問して太田宿中山道祭りに参加,地元の彫刻家によるカンガルー像を寄贈しました。美濃加茂市は,同像への道を赤土(ダボ市の語源)で整備して「ダボ通り(Dubbo Road)」と命名しました。
高校生交流を機に結婚したダボ市在住のベンさんとユキさん
ダボ市では,高校生交流で相互訪問をしたことがきっかけで結婚したベンさんとユキさんのご家族ともお会いして,姉妹都市交流の歴史を実感しました。両市は30周年を機に,「教育と青少年交流」に加え「観光」と「健康」の分野でも連携を深める宣言文書に署名したとのことです。
ポート・スティーブンス市のクリス・ドーハン副市長と
これら以外にも,姉妹都市交流は進展しています。11月22日にポート・スティーブンス市でのフットゴルフ・アジア太平洋大会授賞式に出席した際,同市の市長は千葉県館山市との姉妹都市10周年記念行事出席のため訪日しており,クリス・ドーハン副市長に挨拶しました。両市はヨットレースやマラソンなどの交流も行っています。また,ポート・スティーブンス市は,神奈川県湯河原町とも姉妹都市で,中学生の相互派遣を行っている他,ポート・スティーブンス市のハンター河口湿地と北海道釧路市の釧路湿原とは姉妹湿地提携を締結しています。
リバプール市のウェンディ・ウォラー市長と
12月4日にはリバプール市のクリスマス・レセプションに出席し,ウェンディ・ウォラー市長にご挨拶しました。リバプール市は埼玉県戸田市と姉妹都市関係にあり,中学生の相互ホームステイを毎年実施しています。ウォラー市長からは,2020年東京オリンピックで,オーストラリアのカヌーチーム(パドルオーストラリア)が事前トレーニングキャンプを戸田ボートコースで行うことから、戸田市・パドルオーストラリア・リバプール市の三者間での覚書締結式に,昨日スカイプで参加したばかりとの話がありました。
これら以外にも,日豪間には多数の姉妹都市があり,様々な形で交流を深めています。特に,日豪双方の青少年にとって,国外に目を向けて,言語や文化を学ぶきっかけとなり,両国の未来を築く重要な役割を果たしていると実感しました。周年行事をはじめ様々な機会に,なるべく多くの姉妹都市を訪問し,市民レベルでの交流と協力を後押ししていきたいと思います。
http://www.jlgc.org.au/ja/international-exchange-2/sister-city-exchange/